• 加藤 秀幸

地震で会社を休業した時の休業手当



会社の都合で休業し従業員の方にお休みしていただいた場合、休業手当を支払う必要があることが労働基準法で定められていますがご存知でしょうか。ここでいう「会社の都合」とは、原材料の入手や製品の搬出ができなかったり、店舗改装等で職場で働けない等、会社の経営管理上の都合も含み、従業員の方は仕事ができる状態なのに休業をする場合です。そして「休業手当」とは、休業させた所定労働日について平均賃金※の6割以上の手当を支払うものです。

※原則として、以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額をその期間の総日数(暦日数)で除した金額

では地震が発生し、会社が休業を決めた場合は休業手当の支払いは必要なのでしょうか。厚生労働省の「東日本大震災に伴う労働基準法等に関するQ&A」に地震に伴う休業に関する取扱いが書かれていますので解説したいと思います。なお、以下、厚生労働省の見解を解説しておりますが、裁判で休業手当の支払いについて争う場合には異なる結果になることもありますので予めご了承ください。

1. 地震により会社の施設や設備が直接的な被害を受けて従業員を休業させる場合

天災事変等の不可抗力の場合は休業手当の支払い義務はありません。

2. 地震により会社の施設や設備が直接的な被害を受けていないけれど従業員を休業させる場合

原則的には休業手当の支払い義務がありますが、①休業の原因が外部より発生した事故であること、②通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けられない事故であることの両方の要件をみたせば、例外的に休業手当の支払い義務はありません。東日本大震災の時の計画停電はこの例外に当たるため休業手当の支払い義務はありませんでした。

しかし上記例外に該当する場合でも、労働契約、就業規則で休業手当の支払いが定められていたり、慣行として休業手当を支払ってきた場合には休業手当の支払い義務があります。休業手当を支払わないように変更することもできますが、従業員の方の同意が必要です。

以上のことから、休業手当の支払い義務が発生しない場合には、給与計算時、休んだ日数に対して欠勤控除しますが、事後的に年次有給休暇を認めて欠勤控除しないことも可能です。

また、休業手当の支払い義務が発生する場合には雇用調整助成金等を受けることができます(中小企業の場合、要件を満たせば手当の3分の2を助成)。

なお、地震で、1.事業場の倒壊、2.資金繰りの悪化、3.金融機関の機能停止等が生じた場合でも、賃金支払義務は減免されませんのでご注意ください。

社会保険労務士 加藤秀幸

#労働基準法 #給与計算 #休業手当

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