• 加藤 秀幸

【通勤中のケガ】通勤災害【労災保険】

最終更新: 2019年8月8日



通勤中、ケガをされた場合、ひどいケガなら病院に行かれるかと思います。


それでは、病院に行ったら健康保険証を使えるのでしょうか?


「え、保険証、使えないの?!」と思った方、ご注意くださいね。


私傷病(仕事や通勤に関係ない病気やケガ)で病院や薬局に行ったときには健康保険証を使えますが、従業員の方が(通勤も含めて)お仕事が原因でケガをして病院で治療を受けるときは、残念ながら健康保険証が使えません


なぜなら、ケガの原因によって医療費を出してくれる保険制度が異なるため、健康保険証が使えたり使えなかったりする訳です。健康保険証は健康保険という制度から発行されています。


  • 私傷病(仕事や通勤に関係ない病気やケガ)→健康保険→健康保険証が使える

  • 仕事または通勤が原因の病気やケガ→労災保険→健康保険証が使えない


そのため、健康保険なのか労災保険なのか病院側の手続きも変えざるを得ないので、もし病院で「仕事や通勤が原因のケガですか?」と聞かれなくても診察を受ける前にご自身で通勤中(仕事が原因)のケガであることを病院に伝えるようにしましょう。もし、仕事や通勤が原因のケガなのに健康保険証を使うと、後で切り替え手続きが必要になります。


では「通勤中のケガは健康保険証が使えないのは分かった。その後は何か違うの?」という疑問を持たれるかと思います。


大きく以下2点、異なります。


  1. 通勤中のケガで病院に行ったら、医療費が高額になってしまうかもしれませんが、まずは全額自己負担で会計をすませるようにします。

  2. 労災(労働者災害)保険としてケガを労働基準監督署に申請して、通勤中のケガであることが認定されれば、支払った医療費があとで全額戻ってくるという流れになります。


通勤中のケガについて最低限知っておいていただきたいことはここまです。通勤災害に該当しない例などもありますので、詳細は以下をご覧ください。



普段、仕事や通勤とは関係ない「私傷病」で病院に行ったときには、健康保険証を見せて医療費の3割自己負担分を支払います。これは健康保険証が「健康保険」という制度の中で発行され、医療費自己負担3割以外の7割の医療費が健康保険から支払われるからです。ご存知のように、健康保険の保険料は毎月みなさんの給与から天引きされ、会社もその同額を負担して、協会けんぽや健康保険組合に毎月、納付されています(協会けんぽや健康保険組合は公的な機関ですが国とは異なります)。


一方、仕事中や通勤中のケガや病気は「労災保険」という制度の中で治療を受け医療費が支払われます。制度を使う我々としては、ケガや病気になった原因によって使われる制度が異なるのは分かりにくいのですが、医療費の出所が制度によってはっきり分かれているので仕方ありません。労災と認定されれば、医療費自己負担ゼロで、全額労災保険が医療費を負担してくれます。労災保険の保険料は全額会社負担で、国に毎年度、納付されています。


医療費は集められた保険料から支払われますので、原因によって使い分ける必要があるわけです。


  • 私傷病→仕事が原因でない→健康保険から医療費の7割を負担してもらえる

  • 仕事や通勤のケガ→労働基準監督署へ申請→労災保険と認定→労災保険から医療費の10割を負担してもらえる


労災保険に中では、仕事が原因の病気やケガである「業務災害」と通勤中の病気やケガである「通勤災害」の2つに大別され、「業務災害」については別の機会に触れたいと思いますので、今回は通勤中のケガ「通勤災害」について解説していきます。


なお、出張中は原則「仕事中」と扱われますので、出張中のケガや病気は今回のブログでは取り上げていません。また、通勤中のケガについて触れていますが、万が一、従業員の方がお亡くなりになっても通勤災害と認定される場合はありますので、会社を管轄している労働基準監督署へお問い合わせください。


この情報の最新は弊所ブログをご覧ください。


誰が通勤災害の対象になる?


従業員が対象です。正社員だけでなく契約社員やパート、アルバイトも対象となります。一方、会社の代表者や役員は通常、労災保険に入っていませんので、通勤中にケガをしても通勤災害にはならず、労災保険から医療費は出ません。ただし、特別加入している場合には通勤災害として補償を受けられる可能性もありますので労働基準監督署へお問い合わせください。



どんなケガや病気が通勤災害になる?


以下5つすべてに当てはまれば通勤災害になります。


  1. 業務(仕事中)ではない

  2. 業務と密接な関係がある通勤である

  3. 住居と就業場所の往復

  4. 合理的な経路及び方法

  5. 往復の経路を逸脱したり中断(カフェ・飲み会など通勤に関係ない行為)をしていない


具体的なケースを挙げてみます。原則としてどのように扱われるかを記載しましたが、ケースバイケースですのでご注意ください。


通勤中と扱われる例

  • 自宅と会社の往復中、特に寄り道もしていない場合は通勤中です。

  • 通勤中、駅構内のトイレや売店に立ち寄っても通勤中です。

  • 定期券の経路だけでなく、「合理的な」通勤経路なら通勤中として扱われます。定期券を持っている公共交通機関が不通のため別の路線を使った場合などです。

  • 通院や介護で病院に寄った場合や日用品の買い物でコンビニやお店に寄った場合、通常の通勤経路から外れた部分以外は通勤中として扱われます。


通勤中とは扱われない例

  • 仕事と関係がない飲み会に参加すると通勤中とは扱われず、私傷病となります。

  • 一旦、出社し顧客企業へ向かうときは通勤中ではなく業務中です。

  • 出張中は原則、通勤中ではなく業務中として扱われます。



通勤中にケガをして病院に行ったらどうすればよい?


病院で通勤中のケガということを伝えてください。病院の方に伝えればわかると思います。


間違って健康保険証を使ってしまったら、あとで切り替え手続きが必要になります。


そして通勤中のケガ(通勤災害)に遭ったことを労働基準監督署に申請します。



通勤中にケガをした場合、どんな補償が受けられる?


まず、病院での治療費ですが、全額、労災保険から出してもらえます。


また、仕事を休んだ4日目から、給料が出ていなければ休業1日につき給与の約80%が支払われます。


他に、通勤が原因で障害が残ってしまった場合や従業員がお亡くなりになってしまった場合には障害年金や遺族年金が支給されるケースもあります。



まとめ


  • 通勤災害の場合は健康保険証は使わず、医療費は全額自己負担でお支払いください。

  • 通勤災害と認定されれば医療費は全額戻ってきます。

  • 通勤中のケガと思っていても、労災と扱われない場合があります。

  • 通勤中のケガの治療に加えて、仕事をお休みした時の所得補償や障害が残った場合の補償、万が一従業員の方が亡くなった場合の遺族への補償もされる可能性があります。


「労災保険」や「通勤災害」でお手伝いが必要になりましたらメイトー社会保険労務士事務所までご依頼ください。


社会保険労務士 加藤秀幸





出典(厚生労働省)


  • https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/rousai.html

  • https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaikakushi/dl/leaf-01.pdf

  • https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000147162.pdf

  • https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000016ahx.html



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