• 加藤 秀幸

年次有給休暇の買い取り

最終更新: 2019年11月30日



あなたの会社の年次有給休暇の取得率※は何パーセントですか。100%やそれに近いという会社はあまりないかもしれません。厚生労働省の「就労条件総合調査を見ると、年次有給休暇取得率の平均は51.1%(2017年)です。


こういった現状もあり、会社を退職する従業員の有休が残ることをよく目にしますが、残った有休はどのように取り扱えばよいでしょう。今回は、そのような場合の有休休暇の取り扱いについて解説していきます。最新の情報はメイトー社会保険労務士事務所のブログをご覧ください。


※ 年次有給休暇の取得率

有休取得率は以下の式で計算します。


取得率 = 取得日数 ÷ 付与日数


例えば、

前年度の有休残日数 8日 + 今年度の有休付与日数 12日 = 今年度始めの有休残日数 20日

今年度終わったときの取得日数が 6日 のとき、有休取得率 = 6 ÷ 12 = 50% となります。

前年度の有休残日数(繰り越し分)は取得率の計算には含みません。



社員から有休を買い取ってほしいと言われたが


社労士として会社の労務管理の支援をさせていただいていると、たまに経営者の方または人事担当の方から「社員から有休の買取を要求されたけど、応じる必要はありますか?」とご質問をいただきます。有休を買い取ることができるケースは後程触れますが、会社が有休を買い取らなければならないかというと、そのような法律や通達はなく、会社が有休を買い取る義務は法律上ありません



有休の買い取りができる場合とは


まず有休の制度の意義について考えてみます。一言でいうと、有休とは社員の心身の疲労回復のためです。したがって、この趣旨に合わないので、有休の買い取りを前提とする制度は導入できません。なぜなら、有休を買い取ってもらえる制度があると、「有休をなるべく取得せずに後から買い取ってお金でもらおう」と考える社員の方がいるためです。では、どのようなケースで有休を買い取ることができるのでしょうか。


会社が有休の買い取りができるケースというのは、消えてしまった、もしくは消えてしまうことが確実な有給休暇です。例えば、退職のために取得できない有休がそれにあたります。


社員が退職の際、以下のような経緯をたどるのが理想的です。


社員が退職の意思を表明する

業務の引継ぎなどを考慮し、会社と社員で退職日を決定する

退職日までに引継ぎを終え、有休をすべて消化する

退職日を迎え退職する


しかし、このような流れにならないことも多いと思います。会社や社員の事情で、有休をすべて消化できないまま退職日を迎える場合もよく目にします。そこで「退職日を過ぎても有休は取れますか?」というご質問もいただきますが、答えは「それはできません」となります。退職により社員(労働者)でなくなっているので、有休を取る権利も退職で失っているためです。また、有休の残日数を考慮せず退職日を決めた後で、社員が退職日までの間を有休申請してきたとすると、会社は有休を取得させなければなりません。なぜなら、会社は有休の取得時季をずらすことはできても取得させないことはできないためです。


そこで、退職時に有休が残ってしまったケースで有休の買い取りをすることができます。繰り返しになりますが、法律上、買取をしなければならないわけではなく、社員との話し合いの上で、有休の買い取りをしてもよいということです。



いくらで有休を買い取ればよいか


では、有休はいくらで買い取ればよいでしょうか。あまり高額にしてはいけません。なぜなら社員が有休をわざとたくさん残してしまう可能性があり、有休のもともとの趣旨(労働者の心身の疲労回復)と相反するからです。


1日分の有休の買い取り額は、社員が1日労働したときに得られる賃金がよいでしょう。給与計算のときのルールにもよりますが、以下の式で計算した賃金額を有休1日分とする方法です。言い換えると、1日欠勤したときに控除すべき賃金額とほぼ一致するはずです。


有休1日分 = 1か月の賃金 ÷ (1年の所定労働日数 ÷ 12か月)



有休を退職時に余らせないために


有休一つとっても取り扱いがなかなか難しいのではないかと思います。余ってしまった有休は前述までのように買い取りすることをご検討ください。それと同時に、2019年4月からは年間5日の有休取得義務化が始まっていますので、普段から社員の皆さんが退職時、有休が余らないような労務管理が必要です。


メイトー社会保険労務士事務所では、有給休暇管理や労務管理についてのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。



出典


年次有給休暇の取得促進について

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/hoiku/20181101/181101hoikukoyo02.pdf


年次有給休暇 - 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/040324-17a.pdf


年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説 - 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf


Q2 年次有給休暇を買い取ることは可能ですか。

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

A2 年次有給休暇の本来の趣旨である「休むこと」を妨げることとなるため、買い取りは法

律違反となります。ただし、退職時に結果的に残ってしまった年次有給休暇に対し、残日

数に応じた金銭を給付することは差し支えありません。


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