【退職】任意継続被保険者とは【健康保険】

健康保険の「任意継続被保険者(にんい けいぞく ひほけんしゃ)」という制度をご存知でしょうか?
健康保険に加入されていた役員や従業員の方が会社を退職された後に加入できる健康保険制度の一つです。
退職後のことになりますので退職者ご本人に手続きをしていただきますが、会社として退職者の方に任意継続被保険者の制度について情報提供されるのもよいかと思います。
なお任意継続被保険者の詳細は、退職前に加入していた協会けんぽ又は健康保険組合にお問い合わせください。
退職後の健康保険制度
まず退職後の健康保険制度の全体像です。
在職中、健康保険に加入していた方が退職した場合、健康保険制度に関して退職後には一般的に以下の4つの選択肢があります。
次の会社で健康保険に加入(次の会社が手続き)
健康保険任意継続に加入(ご本人が退職時まで加入していた協会けんぽ又は健康保険組合に手続き)
国民健康保険に加入(ご本人がお住いの市区町村に手続き)
ご家族の被扶養者になる(ご家族の会社が手続き)
以下では、上記2の健康保険任意継続について解説します。
健康保険任意継続に加入するためには(任意継続被保険者になるための要件)
会社退職後まで加入していた健康保険に任意で加入できる(ご自身で任意に選択して被保険者になれる)制度です。
ただし、任意継続被保険者となるには次のすべての要件を満たしていることが必要ですのでご注意ください。
75歳未満の方
退職日まで継続して2カ月以上、健康保険に加入されていた方
退職日の翌日から20日以内に任意加入の申請をした方
任意継続被保険者が受けられる保険給付(サービス)
任意継続被保険者になった場合は、原則として在職中と同様の保険給付(サービス)が受けられます。
ただし、傷病手当金や出産手当金に関しては、次のすべての要件を満たしている場合のみ受けられますのでご注意ください。
退職日まで継続して1年以上被保険者であった方
退職日時点で傷病手当金や出産手当金を受けているか、受ける条件を満たしている場合
任意継続被保険者の保険料
会社に勤務されていた時は、被保険者(役員または従業員の方)と会社が折半で保険料を負担していましたが、任意継続被保険者の保険料は、全額自己負担となります。
保険料は、退職された時の標準報酬月額(上限は28万円)によって決まります。
なお平成31年(2019)度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は30万円に変更となります。平成31年(2019)度以降の標準報酬月額の上限は、協会けんぽ又は健康保険組合のサイトをご覧ください。
健康保険証(と高齢受給者証)
まず在職中の健康保険証(ご本人と被扶養者の両方)は、協会けんぽ又は健康保険組合に返却してください。
次に任意継続被保険者になったら、保険証(ご本人と被扶養者の両方)が発行されますが、退職された会社からの手続きが完了した後に作成されるため、お手元に届くまで多少の時間を要する場合があります。
任意継続被保険者でなくなったら、保険証を返却してくだい。それまで使用していた保険証は使用できなくなります。誤って保険証を使用した場合、医療費のうち窓口にて支払った額を除いた金額をご返還いただくことになりますのでご注意ください。
任意継続被保険者でなくなるとき
任意継続被保険者として加入できる期間は、2年間です。
任意継続被保険者は、以下のいずれかの日に脱退(資格を喪失)します。脱退したら協会けんぽ又は健康保険組合に連絡し保険証を返却してください。
2年間の期間満了日の翌日
保険料が納付期日までに納付されなかった場合、納付期限の翌日
会社で健康保険の被保険者となった日
75歳の誕生日または後期高齢者医療制度の被保険者となった日
死亡した日の翌日
なお、任意継続に加入後「国民健康保険に加入する」「ご家族の健康保険の扶養に入る」という理由で資格を喪失することはできませんが、保険料を納付期日までに納付しないことで任意継続から脱退することができます。
社会保険加入についてお手伝いが必要になりましたらメイトー社会保険労務士事務所までご依頼ください。
社会保険労務士 加藤秀幸
出典
会社を退職するとき
【健康保険】平成31年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について
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