離職率とは?自社の離職率を業種別離職率と比較(令和5年(2023))
毎年、厚生労働省は雇用動向調査結果を公表しています。この中に「離職率の計算方法」や「業種別離職率」、「雇用形態別(正社員・パート)離職率」が掲載されているため、今回はその内容を紹介したいと思います。
離職率をどのように計算し、自社の離職率が業種別離職率より高いか低いかを知ることにより、労働環境の改善に役立てていただけます。
離職率とは?
離職率とは、一定期間内に離職した従業員の割合を示す指標です。厚生労働省では、離職率を以下の式で算出しています。
離職率(%)=(離職者数 ÷ 常用労働者数)× 100
ここでいう「常用労働者」とは、「期間を定めずに雇われている者」または「1ヶ月以上の期間を定めて雇われている者」のことを指します。つまり、正社員、契約社員、パートタイムやアルバイトなど、少なくとも1ヶ月以上雇用される従業員が含まれます。
常用労働者:1ヶ月以上雇われる従業員全般(正社員・契約社員・パート・アルバイトなど)
一般労働者(正社員等):期間を定めず長期的に雇用され、フルタイムで働く従業員(いわゆる正社員)
パートタイム労働者:労働時間や日数がフルタイムの従業員よりも短い、パート・アルバイト従業員
令和5年(2023)の全体的な離職率
令和5年の調査結果では、全産業平均の離職率は15.4%でした。これは前年に比べて0.4ポイントの上昇となっています。男女別にみると、男性の離職率は13.8%、女性の離職率は17.3%で、女性の方が男性より高い傾向にあります。
雇用形態別では、一般労働者(正社員等)の離職率は12.1%で前年から0.2ポイントの上昇、パートタイム労働者の離職率は23.8%で前年から0.7ポイントの上昇となっています。
業種別の離職率(令和5年)
業種によって離職率には大きな違いがあります。主な業種の離職率を見てみましょう。
産業別入職率・離職率(正社員)(令和5年(2023))

産業別入職率・離職率(パートタイム・アルバイト労働者)(令和5年(2023))

宿泊業、飲食サービス業:26.6%(正社員は18.2%、パートタイムは31.9%)
生活関連サービス業、娯楽業:28.1%(正社員は20.8%、パートタイム36.9%)
卸売業、小売業:14.1%(正社員は11.4%、パートタイム18.6%)
医療、福祉:14.6%(正社員は13.3%、パートタイム17.8%)
製造業:9.7%(正社員は8.7%、パートタイム16.3%)
建設業:10.1%(正社員は10.3%、パートタイム5.6%)
特にサービス業系統(宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業)は離職率が非常に高く、逆に製造業や建設業は相対的に低い傾向が見られます。
自社の離職率を業種平均と比較しよう
自社の離職率を計算したら、同業種の平均離職率と比較してみましょう。例えば、自社が飲食サービス業で離職率が20%だった場合、業界平均(26.6%)よりも低いため、比較的良好な労働環境を提供していると評価できます。一方、業界平均を超える場合は、早急に原因分析と改善策の実施が必要になります。
離職率改善のためのポイント
離職率を改善するためには、従業員が「辞めたくない職場」を作ることが重要です。特に重要なポイントは以下の通りです。
明確で透明な評価・給与制度の構築
労働時間や休日制度の柔軟な運用
職場の人間関係や風通しのよさの改善
従業員のキャリア形成やスキルアップ支援
令和5年の調査では、離職理由として「職場の人間関係」や「労働条件の悪さ」が多く挙げられていました。これらのポイントにフォーカスして施策を打つことで、より良い職場環境を作り、離職率の改善につなげることができます。
まとめ
離職率は労働環境の良し悪しを知る大切な指標です。令和5年の業種別離職率を参考に、自社の状況を分析し、より良い職場づくりを進めていきましょう。従業員が安心して働き続けられる企業になることが、企業の持続的な発展につながります。
出典
厚生労働省:令和5年雇用動向調査結果の概況
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