厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定
2020年9月分の厚生年金保険料(10月納付分)が上がるのをご存じでしょうか。
すべての人の保険料が上がるわけではありません。
報酬月額 635,000円以上の人の保険料があがります。
そこでこの記事では、2020年9月分の厚生年金保険料の改定について書きたいと思います。
そもそも厚生年金保険とは?
厚生年金保険は、一般に、会社でフルタイムに近い働き方をされている人(以降「正社員」と言います)が加入します。
例外として、週に3日程度しか働かないパートタイムやアルバイトの方ですと厚生年金には加入しないのが通常です。
また社長を含め会社役員の人は加入しますが、個人事業主は加入しません。
正社員や役員の方が厚生年金保険に加入すると、毎月の給与や役員報酬から厚生年金保険料が天引きされます。
厚生年金保険料は入社時の給与見込み額や毎年4~6月の給与を元に決まります。
報酬額が低い方から、第1等級・第2等級・…・第31等級までそれぞれの等級で保険料が決まっており、例えば、第31等級は毎月の給与額(残業代や通勤手当など含めた額)が635,000円の人は厚生年金保険料56,730円が給与から天引きされているはずです。
そして、会社が同額を負担して、国に113,460円を納めています。
なお、少し分かりづらいですが、9月分の保険料は10月の給与から天引きされるのが一般的で、9月分の保険料を10月末までに国に納めるため、このようなサイクルになっています。
厚生年金に加入していると何かよいことがあるのでしょうか。実はたくさんメリットがあります。
65歳以降に(老齢)年金がもらえる(額が増える)
重い障害になったときに(障害)年金がもらえる
厚生年金加入者の方が亡くなったとき扶養されていたご家族が(遺族)年金をもらえる
なお国民年金に加入していても前述の年金はもらえますが、厚生年金保険に加入していると金額が増えます。
よく国民年金が1階部分、厚生年金保険が2階部分と言われるのは、厚生年金保険が国民年金の上乗せになっているからです。
2020年9月分から誰の厚生年金保険料が上がる?
前述しましたが、2020年9月分の厚生年金保険料は10月の給与から天引きされるのが一般的です。
では誰の厚生年金保険料が10月給与から変わるのでしょうか。
それは報酬月額 635,000円以上の人です。逆に言うと報酬月額 635,000円未満の人は今回の改定の影響は受けません(ただし別の要因で厚生年金保険料が変わることはありますが、ここで解説は割愛します)。
これまで報酬月額605,000円以上(第31等級)の人が給与から天引きされる厚生年金保険料は一律56,730円でした。
しかし2020年9月分以降、報酬月額 635,000円以上の第32等級が増えました。
それによって、報酬月額 635,000円以上の人の保険料が59,475円に上がったという訳です。
2020年9月分以降の厚生年金保険料を天引きする給与計算(一般的に10月支給給与)では注意が必要です。
給与計算や社会保険の手続きなどサポートが必要な場合には、メイトー社会保険労務士事務所までご相談ください。
出典
日本年金機構
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