2026年、AIエージェントは本当に「仕事を任せられる存在」になるのか?
- 加藤 秀幸

- 1月1日
- 読了時間: 4分

新年あけましておめでとうございます。
2026年の年明けにあたり、昨年(2025年)を振り返りつつ、これからの生成AI、とりわけ AIエージェント について、1本の論文を手がかりに整理してみたいと思います。
※ 本記事の先頭には、本論文をもとに NotebookLMで作成したインフォグラフィックスを掲載しています。
詳しい内容や前提条件については、論文本文(下記URL)をご参照ください。
2025年は「AIエージェント元年」だった
2025年は、多くのメディアや専門家が「AIエージェント元年」と表現した一年でした。
単なるチャット型生成AIにとどまらず、
目標を与えると
複数の手順を自律的に考え
必要に応じてツールや外部環境を使いながら
試行錯誤してタスクを進める
といった振る舞いをするAIが、活用範囲を広げるフェーズに入った年と言えます。
チャット型生成AIとAIエージェントの違い
ここで、よく混同されがちな両者の違いを、実際のサービス名を挙げて整理しておきます。
チャット型生成AI
人が質問し、それに対してAIが「その場で」文章や回答を返すのが基本です。
1往復ごとのやり取りが中心で、長期的な目標管理や継続的な試行は得意ではありません。
代表的な例としては、
ChatGPT(通常のチャット利用)
Gemini(チャットモード)
Microsoft Copilot(チャット型の質問応答)
などが挙げられます。
AIエージェント
「最終的な目標」を与えると、途中の手順を分解し、状況を観察しながら行動を繰り返します。
途中で失敗すれば修正し、必要なら追加の行動を選び直す点が特徴です。
実際のサービスで言えば、
ChatGPT(Deep Research)
Gemini(Deep Research)
Microsoft Copilot(リサーチツール)
といった機能が、AIエージェント的な振る舞いに近いものと言えるでしょう。
つまり、会話の相手(チャット型生成AI)か、調査や作業をある程度まとめて任せる存在(AIエージェント)か、という違いです。
今回紹介する論文について
今回紹介するのは、arXivに公開されている以下の論文です。
この論文は、AIエージェントが
どのような環境で
どの程度うまくタスクを遂行できるのか
どこでつまずくのか
を、比較的シンプルかつ厳密な実験環境で検証しています。
論文で実験された環境の概要
論文では、AIエージェントに対して、
明確なゴールが設定されたタスク
途中で複数の判断や操作が必要な作業
一度の判断ミスが後工程に影響する構造
といった条件を持つ環境を用意し、エージェントがどのように行動するかを観察しています。
重要なのは、単発の質問応答ではなく、連続した行動と判断が求められる点です。
これは、実務における「書類作成」「データ整理」「業務フローの自動化」などに、比較的近い構造だと思います。
論文が示している「AIエージェントが苦手なこと」
この論文で特に印象的なのは、AIエージェントの限界がかなり率直に示されている点です。
具体的には、
手順が細かく分かれている作業
各ステップで高い正確性が求められるタスク
長い時間、目標を見失わずに行動し続ける必要がある状況
において、エージェントが途中で誤った判断を積み重ね、最終的にゴールに到達できないケースが多く確認されています。
一つ一つの判断はもっともらしく見えても、小さなズレが蓄積して破綻する。
この点が、繰り返し観測されています。
論文の指摘は我々ユーザーの実感と一致している
この論文の結論は、私自身が日々生成AIを実務で使って感じている感覚と、ほぼ一致しています。
それは、
生成AIは「緻密な作業」を「長い時間」かけて
目標どおりにやり切ることが、現時点ではまだ苦手
という点です。
単発の文章作成やアイデア出しでは非常に優秀でも、
条件が多い
途中で確認や修正が必要
最終成果物の品質が厳密に求められる
といった業務になると、人間のチェックや介入が欠かせません。
2026年初の現時点で、これらはまさに社会保険の申請業務や給与計算であるといえます。
ここが解決されれば、AIエージェントはもっと実務に役立つ
論文の指摘と実務での体感を踏まえると、AIエージェントが本当に業務の中核を担うためには、
長期的な目標の保持
中間成果の自己検証
ミスの早期検出と軌道修正
といった仕組みが、より強化される必要があります。
言い換えれば、「考え続けながら、丁寧に作業を積み上げる力」 が鍵になります。
言い換えると、汎用的なChatGPT、Copilot、Geminiのモデルをうまく使って、上記の欠点を補うようなサービスが提供されれば社会保険の申請業務や給与計算にも生成AIを活用できるシーンが増えるということです。
まとめ
2025年は確かに、AIエージェントの可能性が一気に広がった年でした。
同時に、今のAIエージェントの限界も見えた一年でもあります。
論文が示す課題と、現場での実感が一致していることは、研究と実務が着実に近づいている証拠だと感じます。
2026年、この 「緻密さ」と「継続性」 という課題が、
新しいモデル設計
エージェント制御技術
周辺ツールや評価手法の進化
によってどこまで解決されるのか。
引き続き新しいテクノロジーを注視しながら、その進化を楽しんでいきたいと思います。
























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