従業員募集・採用のときの年齢制限
募集や採用時の年齢制限(原則、不可)
問題です。
以下の①~⑥には労働者募集の際に年齢制限を付けていますが、どれならば問題ないでしょうか。
① ハードな重労働
高齢者には到底無理!40歳以下で募集します。
② 若者向けの洋服の販売スタッフ
なので30歳以下で募集したい。
③ 社長が40歳、その他のスタッフも皆30代以下
業務上指導しづらいし、中高年齢者は浮いてしまうので、30代以下しか採用しない。
④ PC操作や夜間業務もたくさん
スキルや体力面で、高齢者は不安なので若い人を募集。
⑤ 幼稚園の送迎バスアシスタント
始業時間は早朝だし、子どもを相手にするので、若い人に働いてほしい。
⑥ 一定の経験が必要な指導業務
だから、50歳以上で募集!
答えは、すべてNGです。
労働者の募集及び採用の際には、原則として年齢を不問としなければなりません。
(例外的に年齢制限が認められる場合は後述します。)
パート、アルバイト、派遣など雇用の形態を問いません。
形式的に求人票を「年齢不問」とすれば良いということではなく、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定することは法違反になります。
また、応募者の年齢を理由に雇用形態や職種などの求人条件を変えることもできません。
募集・採用時のよい例
以下のように年齢ではなく業務内容と必要な能力を示して募集します。
① ハードな重労働
【長距離トラック運転者(年齢不問)】
長距離トラックを運転して、札幌から大阪までを定期的に往復。
資材(50kg程度)を上げ下ろしする業務であるため、この業務を継続していくためには、持久力と筋力が必要です。
② 若者向けの洋服の販売スタッフ
【販売スタッフ(年齢不問)】
主に20代をターゲットにした婦人服を○○店にて接客販売。
お客様とコミュニケーションをとりながら、コーディネートを提案。
慣れてきたら、定期的に開催する販売イベントにも参加していただきます。
③ 社長が40歳、その他のスタッフも皆30代以下
【一般事務(年齢不問)】
40代の社長が1年前に創設したベンチャー企業。
総務部門において、担当者(30代)の指導のもと一般事務を担当。
主な仕事は、パソコン(ワード・エクセル)を用いた、社内文書の管理、作成、事務用品の管理です。
④ PC操作や夜間業務もたくさん
【介護職員(年齢不問)】
施設入居者の介護業務。ケアプランに基づく業務(食事、入浴、排泄等の介助)、清掃業務、レクリエーション業務、PCによる日誌作成。
夜間業務は月3回程度。
ホームヘルパー2級又は介護職員初任者研修以上。
⑤ 幼稚園の送迎バスアシスタント
【バスアシスタント(年齢不問)】
定員○名のバスにて、○○地域の幼稚園まで子どもを送迎。
朝の8時から、幼稚園の始業時間である9時までに送り、14時からお迎え業務。
子どもの送迎業務の経験ある方歓迎。
⑥ 一定の経験が必要な指導業務
【製造工程管理(年齢不問)】
自動車部品の金属製品製造工程において、専門的な知識や経験をもとに精密板金の加工作業を行うとともに製造工程を管理。
各ラインの製造工員への指導や調整を行う。
募集や採用時に年齢制限が認められる場合
労働者の募集および採用の際には、原則として、年齢を不問としなければなりませんが、例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。このとき、上限(65歳未満のものに限る)を定める場合には、求職者、職業紹介事業者等に対して、その理由を書面や電子媒体により提示することが義務づけられています。
定年年齢を上限として、上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
〇 定年が60歳の会社が、60歳未満の人を募集
× 60歳未満の人を募集(契約期間1年。更新あり):有期労働契約であるため
× 60歳未満の人を募集(定年が63歳):上限年齢と実際の定年年齢が一致していないため
× 40歳以上60歳未満の人を募集(定年が60歳):下限年齢を付しているため
× ~業務の習熟に2年間必要なため、58歳以下の人を募集(定年が60歳):上限年齢を下げている
労働基準法その他の法令の規定により、年齢制限が設けられている場合
〇 18歳以上の人を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)
〇 18歳以上の人を募集(警備業法第14条の警備業務)
長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
〇 35歳未満の人を募集(高卒以上・職業経験不問)
〇 45歳未満の人を募集(要普通自動車免許)
〇 令和○○年3月大学卒業見込みの人を募集
× 30歳未満の人を募集(契約期間1年。更新あり):有期労働契約であるため
× おおむね40歳未満の人を募集(1級建築士保持者):職務経験を付しているため
× 18歳以上35歳未満の人を募集:
技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
〇 電気通信技術者として、30~39歳の人を募集(電気通信技術者は、20~29歳が10人、30~39歳が2人、40~49歳が8人)
× 電気通信技術者として、25~34歳の人を募集:「30歳から49歳」の範囲におさまっていないため
× 電気通信技術者として、35~49歳の人を募集:年齢幅が「5~10歳」を超えているため
× 電気通信技術者として、30~39歳の人を募集(電気通信技術者は、20~29歳が30人、30~39歳が15人、40~49歳が25人):同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して2分の1以下となっていないため
芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
〇 演劇の子役のため、○歳以下の人を募集
× イベントコンパニオンとして、30歳以下の人を募集:芸術・芸能の分野に該当しないため
60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代の不安定就労者・無業者または特定の年齢層の雇用を促進する政策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる人に限定して募集・採用する場合
〇 60歳以上の人を募集
〇 35歳以上55歳未満の人を募集(無期雇用・職業経験不問)
〇 (特定求職者雇用開発助成金の対象者として)60歳以上65歳未満の人を募集
× 60歳以上70歳以下の人を募集:上限年齢を付しているため
× (特定求職者雇用開発助成金の対象者として)55歳以上65歳未満の人を募集:特定の年齢層と異なるため
出典
その募集・採用年齢にこだわっていませんか?(厚生労働省)
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