就職したら最低限知っておきたい健康保険
就職から退職までの健康保険について、時系列でシーン別に概要が分かるよう解説しています。そのため正確ではない部分もありますが、ご自身でも検索できるように各章の最後に検索キーワードを記載しました。詳細や最新情報は厚生労働省、日本年金機構、協会けんぽ、健康保険組合、東京都のサイトをご覧ください。
シーン別
入社して健康保険に加入する
病院や薬局にかかる(健康保険証あり)
病院や薬局にかかる(健康保険証なし)
健康保険証をなくしてしまった
医療費が高額になりそう又は高額になった
病気やケガでお仕事を休んだため給与が減ってしまった
妊娠・出産した
後期高齢者医療制度へ移行する(75歳になった、または65歳以上で障害になった)
退職した
保険料
その他詳細
この記事で説明していることは、傷病手当金、出産手当金と保険料以外は、従業員の方とご家族の方でほぼ共通の内容です。
協会けんぽにご加入の会社について説明しています。健康保険組合は取扱いが異なる場合がありますので各健康保険組合にお問い合わせください。なお、会社が協会けんぽ又は健康保険組合のいずれかにご加入かはお勤めの会社にお問い合わせください。
健康保険の各手続きは、お勤めの会社にお問い合わせください。
この記事では厚生年金保険については触れておらず別記事にする予定です。
1. 入社して健康保険に加入する
従業員ご本人は、2ヶ月を超えて継続して会社にお勤めする予定なら、1週間の所定労働時間と1カ月間の所定労働日数が一般社員の4分の3以上(通常30時間/週 程度以上)の場合、入社時から健康保険に加入し、健康保険証(被保険者証)がもらえます。常時501人以上の企業では1週間の所定労働時間が20時間以上の場合、加入できる可能性がありますので会社にお問い合わせください。
健康保険証をもらえる従業員のご家族は、年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は年間収入180万円未満)で、そのご家族の収入が従業員の方の収入の半分未満なら健康保険証をもらえます。年収は実績(過去の収入)ではなく見込(将来の収入)で大丈夫です。
なお、健康保険証は協会けんぽに手続きを開始してから発行されるまで、東京都だと通常2週間程度(混み合う4~5月は3週間以上)かかります。健康保険証は会社に郵送で届きます。
[検索キーワード]
2. 病院や薬局にかかる(健康保険証あり)
病院、診療所、薬局では健康保険証を提示しましょう。健康保険証が使えるのは、入社日から退職日までです。退職日を過ぎたら保険証は使わず、速やかに会社に返却しましょう。退職日を過ぎて保険証を使った場合、ご自身で清算手続きをする必要があります。
また、従業員の方の退職以外にも、健康保険証が使えなくなる以下のケースがありますのでご注意ください。
所定労働時間/日数の減少で健康保険から脱退することになった日
ご家族の方で、収入が増える等で被扶養者でなくなった日
75歳の誕生日(後期高齢者医療制度に移行します)
65歳~74歳で一定の障害の状態のため認定を受けたとき(後期高齢者医療制度に移行します)
また、仕事中や通勤中のケガや病気(労働災害=労災)に対しては健康保険証を使えません。労災の場合は、労災であることを病院や薬局に伝えてください。労災であるにもかかわらず、健康保険で治療を 受けてしまった場合は、受診した病院・薬局に、健康保険から労災保険への切り替えが可能か聞いて、
切り替えができる場合、病院の窓口で支払った金額(一部負担金)が返還されます。
切り替えができない場合、一時的に医療費の全額を自己負担した上で、労災保険を請求してください。
[検索キーワード]
3. 病院や薬局にかかる(健康保険証なし)
入社直後で健康保険証が手元に届かない場合など、病院、診療所、薬局で健康保険証を提示できないことがあります。その際、前職の健康保険証は使えませんので、かかった病院や薬局で一旦全額自己負担します。そして健康保険証が発行されたら、療養費として一定割合の払い戻しが受けられます。なお、海外で病院を受診した場合には海外療養費という制度で一定割合の払い戻しが受けられます。
[検索キーワード]
4. 健康保険証をなくしてしまった
健康保険証をなくしたときは再発行できます。
[検索キーワード]
5. 医療費が高額になりそう又は高額になった
一歴月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分を、高額療養費として後で払い戻しを受けることができます。自己負担額はご家族で合算できます。ただし、保険適用となる医療費のみが対象で、差額ベッド代、レーシックやインプラント等の保険適用外の医療費は高額療養費の対象となりません。
70歳未満の方で(70歳以上の方は別途会社にお問い合わせください)、医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、事後に高額療養費を受ける代わりに、事前に限度額適用認定証を会社経由で協会けんぽに申請してください。病院(入院・外来別)と薬局でそれぞれの窓口に限度額適用認定証を提示することにより、自己負担限度額まで医療費を払えば、それを超える自己負担はありません。
[検索キーワード]
6. 病気やケガでお仕事を休んだため給与が減ってしまった
私傷病により休業中に従業員の方の生活を保障するため傷病手当金がもらえます(仕事中や通勤中のケガや病気に対しては労災保険を使うため、健康保険の傷病手当金はもらえません)。
傷病手当金がもらえる4つの要件(すべて満たす必要があります)
・仕事や通勤以外の病気・ケガで療養中
・療養のための仕事ができない(担当医の証明が必要)
・連続3日仕事を休んで4日目以降も仕事を休んでいる
・仕事をしていないため給与が3分の2未満になった
少し細かいですが、上記「連続3日仕事を休んで4日目以降も仕事を休んでいる」について補足します。「連続3日」は待期期間といい、会社の所定休日(一般的には土日祝日)や有給休暇も含まれます。「4日目以降」には給与が出ている有給休暇は含まれません。
傷病手当金がもらえる期間
・同一事由のケガや病気に対して最長1年6カ月間
傷病手当金の額
・欠勤一日につき、標準報酬日額(給与日額)の3分の2
欠勤しても会社から給与が出る場合は標準報酬日額(給与日額)の3分の2までの差額がもらえます。標準報酬日額(給与日額)の3分の2以上会社から給与が出る場合は傷病手当金はもらえません。
[検索キーワード]
7. 妊娠・出産した
従業員の方またはご家族が出産された場合、出産育児一時金としてお子様お一人につき42万円(産科医療補償制度に加入している場合)がもらえます。
また従業員の方が妊娠・出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は出産手当金がもらえます。
出産手当金の額は、欠勤一日につき、標準報酬日額(給与日額)の3分の2です。欠勤しても会社から給与が出る場合は、標準報酬日額(給与日額)の3分の2までの差額がもらえます。標準報酬日額(給与日額)の3分の2以上会社から給与が出る場合は出産手当金はもらえません。
出産手当金がもらえる期間は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までで、会社を休んだ期間です。出産日は出産の日以前の期間に含まれます。また、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金がもらえます。
[検索キーワード]
8. 後期高齢者医療制度へ移行する(75歳になった、または65歳以上で障害になった)
従業員の方が75歳になった
従業員の方とご家族の方が健康保険から脱退するため保険証を会社に返却してください。
従業員の方は後期高齢者医療制度に加入するため、ご自身でお住いの市区町村で手続きしてください。
ご家族の方は国民健康保険に加入するか、他に健康保険に加入されているご家族の被扶養者になることもありますのでご家族で手続きをしてください。
従業員のご家族の方が75歳になった
ご家族の75歳の誕生日当日に、そのご家族が後期高齢者医療制度に加入することになります。それまで使っていた健康保険証を会社に返却し、ご家族がお住いの市区町村にて後期高齢者医療制度加入手続きをしてください。
従業員の方またはご家族の方が65歳以上で一定の障害になり認定された
後期高齢者医療制度に加入できます。上記「従業員の方が75歳になった場合」または「従業員のご家族の方が75歳になった場合」をご覧ください。
[検索キーワード]
後期高齢者医療制度(厚生労働省・各市区町村)
9. 退職した
退職したら(従業員とご家族の方の)健康保険証を会社に返却してください。
退職後はご自身で健康保険加入手続きが必要です。退職後に加入する健康保険として、「任意継続」、「市区町村の国民健康保険」、「ご家族の健康保険(被扶養者)」の3種類があります。
「任意継続」は資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内にお住いの都道府県の全国健康保険協会に申請してください。
「市区町村の国民健康保険」で資格喪失証明書が必要な場合は会社に発行をご依頼ください。
[検索キーワード]
国民健康保険(各市区町村)
10. 保険料
入社月分の保険料から、資格喪失日(退職日の翌日)の前月分まで健康保険料と介護保険料がかかり、給与から天引きされます。会社が天引きした保険料に同額を加えて保険料を納めます。
介護保険料は40歳以上64歳以下の方を対象に給与から天引きされます。40歳未満は介護保険料はありません。65歳以上は年金から市区町村が介護保険料が天引きされます。
[検索キーワード]
11. その他詳細
健康保険で受けられるサービス(「保険給付」といいます)は協会けんぽや東京都Tokyoはたらくネットをご覧ください。
2018年6月1日公開
Comments