【給与減】傷病手当金【病気やケガで休職】
会社在職中に、病気やケガなど私傷病により会社を休まなければならないことがあります。社会保険労務士として仕事をしていると、長期間のお仕事を休まれている方の中には、うつ病のため療養されている方が多いように感じています。
私傷病の原因は何であれ、休業期間が長期に及び、給与計算期間のすべてを欠勤した場合には、ノーワークノーペイの原則から、給与支給額は0になることが一般的です。
それでは私傷病で長期休職した場合、普段はあまり意識しない社会保険料の支払いはどうなるでしょうか。社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)に加入されている方は毎月給与から保険料を天引きされているはずですが、これらの保険料は休職中も払い続ける必要があります。※
※ 雇用保険料や、産休・育休中の社会保険料
・同じ休職でも、産休や育休は社会保険料の納付は免除されます。
・雇用保険料は支給されている賃金に対して料率(2019年4月現在、1,000分の3)を掛けて天引きするため、給与支給額が0になれば雇用保険料も0になることが一般的です。
つまり、給与支給額は0円になるのに対して、社会保険料の支払いは免除されないため、お休みされている方は会社に対して社会保険料を支払い続ける必要があります(なお、会社が負担すべき社会保険料も免除されません)。
前置きが長くなりましたが、このような場合に役に立つのが、健康保険の「傷病手当金」です。
健康保険に加入していれば、被保険者が病気やケガのために会社を休み、会社から支払われる報酬や給与が減ってしまったら、所得補償として傷病手当金をもらえる場合があります。(一定の要件を満たせば、退職後も任意継続被保険者として傷病手当金をもらえます。)
それでは、どのような場合に、いつまで、いくらくらい傷病手当金がもらえるのか見ていきましょう。以下で協会けんぽの傷病手当金について解説していきます。この情報を最新は弊所ブログをご覧ください。
なお、仕事や通勤が原因のケガや病気は労災保険になりますので、健康保険は使わないようにご注意ください。
支給される条件
傷病手当金は、次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときに支給されます。
(1) 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
(2) 仕事に就くことができないこと
(3) 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
(4) 休業した期間について給与の支払いがないか、支給額より少ない
支給される期間
傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。これは、1年6ヵ月分支給されるということではなく、1年6ヵ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も1年6ヵ月に算入されます。支給開始後1年6ヵ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。
支給される額
だいたい給与額の3分の2が支給されます。
正確には、以下の計算式によります。
「傷病手当金の支給開始日以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額」÷30日×⅔
資格喪失後の継続給付について
資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態(上記(1)(2)(3)の条件を満たしている)であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができます。ただし、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。
傷病手当金が支給停止(支給調整)される場合
以下いずれかの場合に傷病手当金は減額、または支給されません。
・傷病手当金と出産手当金が受けられるとき
・資格喪失(退職)後に老齢(退職)年金が受けられるとき
・障害厚生年金または障害手当金が受けられるとき
・労災保険の休業補償給付が受けられるとき
病気やケガにならないことが一番ですが、もし長期間お仕事を休まなければならなくなったときには傷病手当金のことを思い出していただければ幸いです。
傷病手当金の詳細は、加入していた協会けんぽ又は健康保険組合にお問い合わせください。
社会保険加入や傷病手当金についてお手伝いが必要になりましたらメイトー社会保険労務士事務所までご依頼ください。
社会保険労務士 加藤秀幸
出典
病気やケガで会社を休んだとき(協会けんぽ) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139
傷病手当金について(協会けんぽ)
みんなのメンタルヘルス:うつ病(厚生労働省)
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