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固定残業代(みなし残業代)のトラブルを防ぐには


残業代込みで給与を支給していませんか?

中小零細企業では毎月同額の残業代を支給する制度を導入している会社が多いと思います。時間外労働の対価として、このような固定残業代(みなし残業手当、営業手当など呼び方は問いません※1)を支払うこと自体は違法ではありませんが、もし基本給に残業手当を含めていたり、基本給とは別に固定残業代を支払っていても適切に固定残業代を表示していない会社はリスクがあります。

昨年(2017年)、年俸1,700万円の医師に対して未払い残業代をあるという最高裁の判決が出ました※2。事案の概要は以下のとおりです。

事案の概要

  • 訴えられたのは病院,介護老人保健施設等を運営する医療法人であった

  • 訴えたのは医師で、年俸1,700万円(諸手当含めた月給が120万円+賞与)の雇用契約であった

  • この医師は管理監督者ではなかった(つまり割増賃金を支払う必要がある)

  • 医療法人には給与規定があり、残業手当が支給されるのは緊急業務に対してであり、通常業務の延長は月給120万円に含むことになっていた

  • 年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかった

この判例は年俸が高くても未払い残業代が認められた事案ですが、注目すべきは一番最後の「年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかった」ことです。

ではどのようにすれば割増賃金に当たる部分が明らかになっていると言えるのでしょうか?

従業員の方を雇用する場合には労働条件通知書(雇用契約書)を作成されていると思いますが、以下の3点を記載し、割増賃金に当たる部分を従業員の方にも計算できるようにしてください。

固定残業代を支給する際に明示すること

  1. 固定残業代を除いた基本給の額

  2. 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法

  3. 固定残業時間を超える時間外労働、 休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

例えば以下のように書きます。

固定残業代の記載例

  1. 基本給(××円)(以下2の手当を除く額)

  2. 固定残業手当(時間外労働の有無にかかわらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給)

  3. ○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

こちらのサイトで固定残業手当が○時間分の時間外手当となるかシミュレーションできます。※3

補足ですが以下の3点にも注意が必要です。

固定残業代を支給する際の注意事項

  • 割増賃金の割増率が法定(法定超時間外労働は1.25倍(月60時間を超える法定超時間外労働は1.50倍)、深夜労働は1.25倍、法定休日労働は1.35倍)を下回らないこと

  • 通常の時間単価(割増賃金でない時間単価)が最低賃金を下回らないこと

  • 給与明細書に、固定残業代とそれを超えた割増賃金の額、および時間外労働、深夜労働、法定休日労働の時間数を記載すること

以上のように従業員の方が働く労働条件を明らかにすることによって後々固定残業手当のトラブルを減らすことができます。

固定残業手当を含め、労働条件通知書のコンサルティングもお受けしております。「お問い合わせ」よりご連絡ください。お見積りは無料です。

なお労働条件通知書(雇用契約書)を作成する場合にはこちらのブログもご覧ください。

 

※1 時間外労働の対価

固定残業手当は名称に関わらず、実質的に時間外労働の対価と言えるかが重要です。役職者の職責に対する手当(課長手当など)や業績に対する手当(バス運転手の無苦情・無事故手当など)を固定残業手当としている場合には、時間外労働の対価と認められない場合があります。

※2 判例

※3 固定残業代シミュレーション

固定残業代リーフレット(厚生労働省)

「時間外労働等に対する割増賃金の適切な支払いのための留意事項について」基監発0731第1号 平成29年7月31日(通達)

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